やりすごす日々

1971年生まれ。女性。バツなし独身。貯金もない。家族や親戚づきあいも薄い。でもなんかここまでこれちゃってるからすごい。

再会

何となく月日が流れてた。

珍しく忙しかったっていうのもある。

勤めてた店がなくなって、私以外の人は解雇になって私は異動になった。

会社から解雇と言われれば失業保険を貰えるけど

異動を断っての退社は自己都合って本当に理不尽。

おかげで今まで30分だった通勤時間が90分になった。

え?それってようするに遠いとこ行かせて辞めてもらおうってやつなんじゃないかだと?

残念ながら栄転なんだな、出世しちゃったよ、めんどくせぇ

異動先に以前一緒に仕事したことのある人がいた。

今は違う会社。

気まずい、、、その人は恐らく私のことが嫌いでやめたのだ、私の部下だった彼女は私の厳しい叱咤に根をあげたので

さぞや私のことを恨んでいるだろう。

だから気づかれたくない。

この場所において、後から来た私は今となっては立場が彼女より下だ。

気づかれたら私が嫌なヤツだと噂を流すだろう。

嫌なヤツに違いはないけれど噂をたてられて総スカン食らうのは嫌だ。

なのでできればバレたくない。


だがしかし、、、

3日目にしてあっさり気づかれた。

だがしかし、、、

彼女は笑顔で声をかけてきたのだ。

しかも

「すごく嬉しい~、涙が出ちゃう~」

と目に涙まで浮かべてくれたのだ。

そしてあの頃飲みに行ったことが忘れられないというのだ。


こういう時に私は痛感する。

自分の卑屈さと人に対する不信感と心の貧しさを。

人にバカにされないように下に見られないように気の弱さを見透かされないように嫌われないように外されないように

いつもつくりものの強さと明るさで

そんな自分を隠してる、それが私だ。


小学6年生の遠足で

私はどのグループに紛れてレジャーシートを広げればいいか分からなかった。

どこにも属していなかったからだ。

そして私に一緒に食べようと言われることもなかった。

苛められたことはないし仲間はずれにされたこともないけど

私は浮いていた。

どのグループに紛れようとしても

「え?なんで?」

と思われる。

だってたいして仲良くないから。

そんな小学生だった。


中学の修学旅行もそうだった。

幼馴染みの仲のよい友達は他のクラスだった。

私は自分のクラスに友達がいなかった。

いなかったわけでもない、けどら私を一番に選んでくれる人はいなかった。

修学旅行のフリータイムを過ごすグループをつくることになったけど

私はどのグループからも誘われず

頭数を揃えるためだけに全然仲良くないグループになった。

案の定、そのグループの子達は

え?なんであたし達のとこなの?

という反応だった。

一緒にまわったフリータイム、私はほとんど会話に入れず、微妙な空気に包まれながら過ごした。

その子達も同じように感じていたのか

盛り上がらないまま時が流れた。


私は誰からも必要とされていないけれど

それを隠すことを身につけていたのだ、知らぬ間に。


話が逸れたけど、

そんな私に再会できてうらむどころか涙を流してくれる人がいるなんて思いもしなかった。


長く生きてきて最近私はいい人になりたいと思うようになった。

励みになるような出来事だった。