やりすごす日々

1971年生まれ。女性。バツなし独身。貯金もない。家族や親戚づきあいも薄い。でもなんかここまでこれちゃってるからすごい。

貧乏花

ショッピングモールで前を歩く家族。

パパ、ママ、3才くらいの小さな女の子

ママは赤ちゃんを抱っこしている

幸せな家族の象徴のような姿だ。

小さな女の子が花を握りしめていた。

道端でも原っぱでもどこで咲いている薄いピンクの花。雑草だ。

それを数本、花束にして握りしめながら歩いてる。

その花は私が子供の頃、遊んだ帰りに母親にと摘んで帰った花だ。

もう40年以上も昔の話だ。

花はどんな花でもかわいくてどんな花でも綺麗だし、母親は花が大好きな人だから

きっと喜んでくれるはずだと思った。

正確に言えば、母親に喜んでほしかったのではない、私がほめられたかったのだった。

ちょっとしおれかけてたけど花は花だ、薄いピンクだしかわいい。

帰宅して

「おかあさん、お花とってきたよ!」

とその雑草の花を母親に差し出した。

多分相当なドヤ顔をしていたと思う。

すると母親は

「あらこれ貧乏花じゃないのー」と

笑った。

貧乏花と言われたことにも傷ついたが、笑われことにも傷ついた。

今でも覚えているくらいだから相当なトラウマだ。

そしてその貧乏花は1分も飾られることなく

たまたま目にしたゴミ箱に捨てられていた。

ほめられなかったことなんかどうでも良くて、何だかこの花を摘んで帰った自分を呪いたかった。

喜んでもらえるどころか、ほめられるどころか、まるで空回りな逆のことをしたのだった。ガッカリさせてしまったことを悔いた。

嘘でも「あら嬉しいわ」でも「ありがとう」でも1分でも飾ってくれるような母親ではなかった。

母親も苦労してきたのだ、それは分かる。

けど子供にはわからない。

だから私は母親とうまくいかないのだ。


ショッピングモールで見かけた小さな女の子の摘んだ花もきっと

きっとママのためだと思うから飾ってあげてほしいなと思う。